(詩)

雪ひらのちらつく晩の居酒屋で、
しなびかけた女が独り、
滔々とかつて慕った温もりをなおも慕っているのです。
あの人と出逢った晩も、
そういや雪を見たっけね。
あの人の肩にポツンとちょうちょみたいに止まったの。
あらと思ってわたしが取ってあげたのよ。
あのひとひらを夢だとはわたしは今も思わない。
雪の晩ではなかったけどね、
だけどあの夜夫を知った。
女は独り、
ふと黙りこむ。
何やら思い詰めた顔なんかして、
ぐいとグラスを干してから
急に荒れだし、
白髪混じりの汚い髪としなびた顔で喚きだす。
雪ひらを降らす頭上の余りにも深い黒。
誰が情けを知るもんか。
誰が情けを知るもんか。
居酒屋の痩せた主人は慣れた感じで首を振り。
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